パーク
しっとりとした空気。少し手がかじかむような寒さ。風が冷たい。
街灯に照らされた電柱よりも大きな凹凸の多い木。
アコースティックギターの音、じゃりじゃりと砂利を踏んで歩く音、カモの鳴き声、若い男性の喋りごえ。
自転車から放たれるLEDのライト、公衆トイレから漏れる暖かい光、自転車を照らす街灯、ギターの音色と混じり合う灯。
ベンチに座る男女。
「肌寒くなってきたね」と男が言った。
「手出して」
「はい」
「カイロ」
「もう冷めてるよ」
「え、まだ温かいよ。」と女はカイロを渡した瞬間、足の先から少しずつ体温が下がっていくのがわかった。
夜がやってくるように紫色に変わった空。
見えない自転車が右に左に走る音。
「明日晴れるかな」と女が言った。
「風が強いらしいよ。」男の口の中はコチュジャンの匂いで臭いし、唾が止まらない。
街灯に照らされて、まるで人の波が縦横無尽に動いているような水面。