柚子

今日、散歩がてら彼女を連れて僕の実家に行った。今彼女と住んでいる家から僕の実家までは30分ほど歩いた場所にある。彼女を連れて行くのはこれで5回目だ。

なぜか実家では誰かのお祝いのように豪勢な食事が並んでいた。母に「今日何かあったっけ?」と聞いたら、「イ・スンギ」と答えた。忘れていた。母は大好きな韓流ドラマの俳優の誕生日を祝うのが好きだった。父はただただ用意された豪勢なご飯を食べるだけで特に何も言わない。

彼女は僕の母と気が合うので会う度に2人して結構なお酒を飲む。母と楽しんでいる彼女を見ると、彼女のことがますます好きになる。

帰り際、母から「美味しいわよ」と言われ柚子をもらった。彼女は嬉しそうに「ありがとうございます。柚子ネードでも作ります」と言った。

めずらしく酔っ払い寝てしまった彼女をおんぶして家に帰った。彼女を寝室のベッドまで運び、僕はリビングで水を飲んだ。さっき母からもらった柚子がないことに気づいた。彼女が手に持っていたはずだから帰る道の途中で落としてしまったのだろうと思い、歩いてきた道をまた戻った。数分歩いたところに柚子は落ちていた。あったはあったが、カラスか何かに突かれたのか袋に穴が開いており半分以上はボロボロになっていた。持ち帰ってごみ箱に捨てた。彼女は相当酔っ払っているので、きっと明日になっても柚子のことは覚えていないだろう。このことは彼女に何も言わずそっとしておこうと思う。

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