ライトフライ

職場に右田 (みぎた)という苗字の上司がいる。いつも珍しい苗字だなと思いながら名前を呼んでいる。先日、いつものように右田さんと名前を呼んだときに、ふと思った。もし右田さんが、恐らくいないだろうとは思うが、左田(ひだりた)という苗字の人と結婚するとなると苗字はどうするのだろうかと。

今の時代は世間的にも夫婦別姓や妻の姓を名乗ることに寛容になってきたとニュースで見た。

右田さんが左田さんを名乗ろうとも、左田さんが右田さんを名乗ろうとも、どちらにせよ一般的な苗字の夫婦より少し心が落ち着かなさそうである。今まで右で呼ばれてたのに、左で呼ばれてたのに、右を信じてきたのに、左を信じてきたのに、と心の声が聞こえてきそうだし、すぐに破綻しそうな気がしてしょうがない。

もし自分がこの2人のどちらかで姓を選択しなければならなくなったとき、迷わず左田を選ぶだろう。

左へ曲がれば光る海のようなものが見え、いつまでも続いてほしいと思える美しい瞬間がきっと待っているから。